屋久島宮之浦岳〜縄文杉縦走キャンプツアー体験記

一般

初めての離島ツアー、初めての屋久島、初めての山小屋泊。

 

屋久島に行った知り合いの共通の言葉が長く印象に残っていた。良かったですよ。一度は是非行ってみるといいです。その記憶がいつか必ず行こうという潜在意識になっていたのかも知れない。

 

今回の目的ははっきりしている。昨年(2020年)から始めたランでどの程度体力がついたかの確認。目標としては昨年末の京都 如意ヶ嶽下山中に足を滑らせて骨折したことの反省から絶対怪我をせずに帰ってくること。同行者に迷惑をかけないこと。余力を残して戻ってくること。

目的からして別に屋久島でなくてもと思いはするが屋久島行きは昨年も計画して世の中の状況から判断して断念した。今度こそはとの想いもあっての決断である。そう。全てはタイミングである。

今回初めて訪れて日本初の世界自然遺産に白神山地と共に28年前に登録された屋久島という土地を、南国で東シナ海に面して西からの湿った大気をモロに受ける特有の自然を実感した。晴れているのに突然空が暗くなって雨が降る。それもシトシトと大人しく降る雨では決してない。ザァッと降る。海沿いは真っ青に晴れていても屋久島中央の山岳地帯は厚い雲に覆われ雨が降っている。車で1周するのに半日かければ済む130キロ余りの島ではあるが様々な顔を覗かせる。鹿もいる。猿もいる。長い間屋久杉は材木としての価値が高く評価されてかつて伐採した木材運搬に使われたトロッコ鉄道道も残っている。その道は今は登山道として使われている。宮之浦岳は海岸線からは見えない。地形の関係からある程度山に入らないと山の頂上は見えない。標高2千メートルにわずかに届かない高さながら森林限界は1,500メートル辺り。高地には背の低いシャクナゲが群生している。11月と言えば紅葉の季節ではあるが屋久島は常緑樹が多く紅葉はあるにはあるが橙色の木々は歩いていてやっと見つけられるといった感じだった。

 

ごく単純化して屋久島ツアーの目的地は2つ。縄文杉と九州最高峰の宮之浦岳だ。1日で2つ回るのは距離からして無理がある。そこで2日間縄文杉と宮之浦岳をそれぞれ1日かけて登るのが一般的だ。それとは別に1泊2日でその目的地2つを一気に巡るツアーもある。今回1日半かけ山小屋泊でこの2つを一度に回る縦走ツアーを選んだ。屋久島トレッキングの経験が豊富にあるなら別だが初めてならガイドは必要だ。木々の根っこが縦横に張り巡らせられた登山道はガイドの後をついて行っていてもどうルートを選んでいるのか正直分からなかった。迷ったとしても不思議ではない。事実この小さな島に登山ガイドは約150人いるそうだ。観光地とはいえ相当な人数だ。2つの目的地をそれぞれ分けて行くか一挙に1泊して行くか。それぞれメリットとデメリットがある。前者は寝袋や2日分の食糧を持つ必要がなく軽装で済む。一方、後者は装備が重くなるが走破する距離は短くて済む。つまり、一長一短がある。季節によっても色々条件は変わるだろう。11月という季節は条件としては悪くなかった。

 

1泊2日のルート。1日目はタクシーを使って淀川登山口に到着。朝6時に出発。高盤岳トーフ岳、湿原の花之江河を経て昼前に宮之浦岳に到着。昼食をとって新高塚小屋に昼2時過ぎに着いた。時折小雨が降ったが概ね晴れか曇りで良い天気だった。早く山小屋に着いたことからテントを張らずに山小屋で寝泊まり出来た。

2日目はようやく明るくなりかけた7時前にゆっくり小屋を出発。縄文杉、ウィルソン杉を経て大株歩道入口に到達する。ここからしばらくトロッコ道(旧トロッコ鉄道)を下る。途中また山道に入り白谷小屋を経て白谷雲水峡に昼2時頃に到着。ここからタクシーを使って下山した。2日間トータルで6万6千歩だった。

 

山で怪我をしない。安全な登山。そのためには様々な経験を積む必要がある。必要な知識もある。山での歩き方。滑らない、滑りにくい歩き方。疲れにくい休憩方法。必要な装備。山の天気の見方、予想の仕方。ルートの選び方。色々なノウハウがある。今回ガイドをお願いすることからルート設定や装備については完全にお任せした。服装や日用品を除いて新たに事前に準備した特別なものは携帯トイレぐらいだろうか。寝袋(シェラフ)、ストック、食糧は現地で手配した。

 

服装は最低気温が10℃を若干下回る程度。最高気温が20℃を一瞬上回る程度であったろうか。汗を通すファイントラックのドライレイヤーを上下に着込みその上にポリエステル製の下着を着た。更に、長袖1枚と上着にこれまたファイントラック製のFINE POLYGONという軽いポリエステルをナイロンで包んだ超軽量の防寒着を買った。大変役に立った。

 

登山での装備としては替えの下着は必須。雨や汗で濡れることを前提に準備する。雨で足元が悪いと靴と靴下が濡れることは通常のこと。怪我はないに越したことはないが健康保険証は持って行くのが常識。ストックは使い方にもよるが滑りやすい石の上や根っこの上を歩く際やバランスを取るのに有効。特に、下山するとき、坂を下るときに有用である。靴を濡らすのが嫌、足元が湿るのを嫌う場合はスパッツを履くのも有効。山小屋での泊まりは基本服は着替えないことを前提にするのが良い。濡れた下着は着替えた方がもちろん良いがそうでなければ1泊程度ならそのまま着続ける方が実際的だろう。

 

1日目は山小屋でテントを張らずに小屋の中で寝る様早く着くことが大きな目標となり速Iペースで進んだ。2日目も雨が強く白谷雲水峽を予定通り行けるか懸念された。川が増水していたら通れず戻らないといけない。そのためやはり1日目同様速いペースとなった。そのせいもあり周りの景色をゆっくり見る余裕もなかった。

 

 

屋久島登山を終えて。

 

ハッキリとした目的意識を持つことは大切だなと実感している。怪我をせずに無事戻って来る。体力に余裕を持って帰る。いずれの目標も達成して普段から少しずつ身体を動かしている効果を確かめることが出来た。鍛えるとまではいかないまでも日頃エネルギーを溜める意識を持って過ごす。その結果を実感出来た満足感とこれを続けていけば良いという確信を持てたことの意義は大きい。また同時に嬉しい。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました