パラダイムシフト その2

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今起きているパラダイムシフト 。

 

今年1月(2020年1月)に“パラダイムシフト その1”にて近い将来に車、航空機、船舶、その移動手段、物流の担い手としてのロジスティックは今後新しい発想、役割を元に根本からシステムを見直す時期が来るだろうと書いた。

 

4月現在、新型コロナウイルスの影響が世界を席巻している。日本に限ってみても海外への渡航はほとんど事実上制限されフライトの国際線は便数が限られ、国内線も閑古鳥が泣いている状態。自動車産業も中国などのサプライヤーが工場操業停止状態が続いて工場の稼働率は下がっているか今後の動向が見えずにいる。世界的なリセッション、景気後退で新車の販売は今後相当落ち込むことは間違い無いだろう。

 

一方、船舶のロジスティックである海運はどうだろうか。

 

今の船舶の運航状態について。ダイヤモンド・プリンセスの例でも明らかな様に船という閉鎖空間、閉鎖社会なので感染に対しては敏感で、船内にたとえ1人でも感染者が出れば負け戦になる。一方、自分の知る海外航路の船員の就労パターンは例えば6ヶ月乗船して3ヶ月陸に上がり休暇や事務的作業などを行う。規定の6ヶ月の乗船が終わり下船するタイミングになる。しかし、交代の船員が感染していないという保証・確証がない。となると交代要員がいないのと同等になり現在乗船している乗組員は実質交代出来ず下船できない、という状況の船もあると聞く。陸に上がり休暇を取り家族に会うのを楽しみにしていた乗組員にとってしばらく我慢の日々が続くことになるのだろうか。

 

ちなみに、ロジスティックという範疇では無いが客船は事実上開店休業状態の様だ。長崎にはイタリア系のコスタクルーズの客船フリートが入れ替わり立ち替わりやって来ている。中には補給だけの船もあるのだろうが、香焼のドックに入っている客船もあるのでこのタイミングで補修や外板塗装をしていると思われる。

 

今のことろ、商船については運ぶ荷が工場稼働していなくて出荷出来ずに無いなどの問題はあるものの運航そのものに大きな問題は起きていない様だ。

 

 

パラダイムシフトという観点では今回の新型コロナウイルスの歴史的出来事のアフターは4つに分かれるだろう。

 

すなわち、感染者の増加が落ち着き抗体のワクチンが開発され普及したアフターコロナでは元に戻り変わらないもの、以前とは全く異なり変質するもの、無くなるもの、今まで無くて新たに生まれたもの、の4つに分類されると考える。

 

ニーズとして求められる生活に必要なものは当然変わらないだろう。衣食住である。しかし、ニーズは変わらなくともその調達の仕方、求められ方、提供の仕方はどうだろうか。例えば、食について世界的に生産が減れば食糧危機に陥る可能性がある。自給率の低い我が国、日本は何らかの対応が官民共に求められるだろう。

 

「グローバル」をキーワードにサプライチェーンを海外にも広げたコンセプトは見直しを迫られることになる。当然ウイルスの感染という危機管理の観点による見直しがある。しかし、それだけではない。この機会にコスト評価やリスク評価に今まで織り込まなかった見方や観点が議論され評価対象に追加されるだろう。そう考える理由は感染の現象と対策が各国でそれぞれ異なるからだ。EUは感染が拡大すると事実上国境を次々に封鎖した。一時的な措置とも言えるが非常時には何を優先するかが垣間見える措置だったと言える。EUを含めた欧州は国のあり方が大きく変わることは間違いない。英国のブリクジットはひょっとしたらその動きを先取りしたと後世で評価されることになるかも知れない。

 

今、世界的激変の中でその動きを見ながらどう変わっていくかを見極める必要がある。現時点で確実に言えることは、良きにしろ悪しきにしろこの騒動で地球環境にとって地球温暖化にとっては一時的かも知れないが良い方向に動いているということだ。つまり、人とモノの動きが制限されることで大気中や海水に排出されるエネルギーが劇的に減っている。大気汚染もそれに合わせて減っている。今後この傾向がそのまま続く訳ではないが、かと言って以前の状態にそのまま戻るとは思えない。

 

世界的パンデミックを起こしたウイルスという意外な原因で今地球温暖化のスピードが落ちている。昨年の仏のノートルダム大聖堂の火災、沖縄首里城の消失、オーストラリアの山林火災で何か地球規模の浄化が始まっているのかと勝手な思いが脳裏をよぎったが今回の新型ウイルスで全くの的外れとも言えないと感じている。

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