新型コロナウイルスの影響で海運の分野では船員交代問題が有効な解決策なく続いている。
自分の経験から知っている限り大抵の国際航海に従事している商船は6ヶ月から長くて9ヶ月程度同じ船で仕事をし乗り続ける。下船後3ヶ月程度の休暇を取りまた同じ船隊とか同じ会社の別の商船に乗船し再び6ヶ月程度の航海をする。
今、その船員の交代がままならない。船に乗船するにはその港までは最寄りの国際空港などまでは飛行機で飛ぶ。そのフライトに実質搭乗出来ない状況が続いている。また、仮に港まで来られたとしても感染していないという保証がなければ船側としては怖くて乗船許可することが事実上出来ない。
そんな状況が続いているので乗船中の船員は交代出来ず乗船し続けるしかない。逆に、休暇を終え交代して乗船する予定だった船員は自宅待機するしかない状態が続いている。
長く船に乗っていると当然いろいろなことを船内で済まさなければならない。短期間であれば陸に上がってからしようとすることも長期に渡って船の中にいるとそうはいかなくなることがある。
その一つが散髪だ。
造船所の代表として船を引き渡した後保証技師として乗船した経験がある。そのとき感じたのが船員の人はほとんど長髪の人はいない。ウエーブのかかった複雑でヘアーサロンでないと出来上がらない様な髪型をしている人はいなかった。短髪で真っ直ぐしたヘアースタイル。これが大抵の船員の方々の髪型だ。
その理由を知ることがあった。ある朝食堂に行くとさっぱりした髪型になった人がいた。昨夜別の船員が髪を切ってくれたという。素人とはいえなかなか上手に切った髪型だった。器用な人が同乗していればラッキーだ。お互い頼んで髪を切り合って過ごす。
長期の船内生活をする船員にとって素人の誰かに頼んで自分の髪を切ってもらうには素直で単純な髪型が一番なのだろう。
コメント