LNGCとLPGC

一般

日本は電力やガスのエネルギー資源をほぼ海外に頼っている。石油、石炭、天然ガス、プロパンガスなど。全てが海外から船舶によって日本国内に運ばれる。

 

石油は液体でありそのまま石油タンカーに積まれ運ばれる。石炭は固体でありやはりそのままバルク船に積まれ運ばれる。これに対し、天然ガスなどは液化して体積を大幅に減じてから船に積まれて運ぶ。

 

液化天然ガス/Liquified Natural Gasは地中に存在する又は地下から地表に噴出する炭化水素ガスを加圧して液化したものであり、炭化水素のうちメタンを主成分としている。常圧下で約マイナス162℃以下で液体になる。ガス炭田で採取された天然ガスはそこで液化されLNGC/Liquified Natural Gas Carrier/液化天然ガス船(タンカー)に積み込まれ運ばれる。

 

もう一つ液化して船で運ぶのがLPG/Liquified Petroleum Gas/液化石油ガスでプロパンやブタンを主成分としている。プロパンガスはこの液化石油ガスの1種である。採取されるのは油田だけでなく天然ガス田からも随伴して得られる。天然ガスは前述の通りメタンが主成分であるが、より重いエタン、プロパン、ブタンはメタンから分離される。これらがLPGと呼ばれる。

 

LPGが天然ガスであるメタンと異なるのは常温でも比較的低い圧力で加圧すれば液化出来るところである。一般道路を走るLPGタンクローリーは耐圧タンクを搭載して運ぶ。この場合は加圧常温状態である。

船の場合は運ぶ容量によって異なる。容量が比較的小さいタンクでは加圧常温で液化する。大容量のVLGC/Very Large Gas Carrier/大型LPGタンカーは常温常圧で運ぶ。

 

LNGCとLPGCの違いは液化する温度の違いにある。大気圧での沸点はメタンが−161.5℃であり、プロパンが−42.1℃である。この差が洋上を運ぶ際の扱い方の違いとなって現れる。

 

LPGC、特にVLPGCの様な常温常圧のタンクでは気化したガスは再液化システムを通して液化してタンクに戻す。圧縮機を通してガスを加圧した後液化してタンクに戻すのである。

 

これに対し、LNGCでは再液化システムを搭載した船は例外的である。つまり、一般的にガスの再液化は行わず、再液化システムが無い。気化したガスはタンクから排出する。タンク内に溜めてはタンク内圧が上昇して危険な状態になる。では、タンクを出たガスをどう扱うのか。タンク内で気化したガスは積極的に消費する。ガスは機関室に送りボイラーで燃焼させ蒸気タービンを回しプロペラを回転させる。つまり、船の推進力のエネルギー源になる。また、同じく船内電力としても使う。この場合は発電機関としての蒸気タービンを回す燃料として消費する。

 

この様に沸点の違いが運ぶ船でどう扱われるかの違いとなって現れる。言い換えれば、液化ガスを油田やガス田で積荷するときと消費地近くのガス基地港で荷揚げする際、基本的にLPGは積んでいる量は変わらない。これに対してLNGは燃料として消費したりベントから大気中に放出した分だけ量が減ることになる。

 

この違いが荷となる液化ガスを積むときと揚げるときの各ガス基地でのビジネスとしての船側と陸側のやりとりに影響する。積む際の液化ガスの成分表などのデータは積荷港で入手する。この際LPGでは積んだ容量がイコール揚げ荷港での荷揚げ量となる。一方、LNGの場合は積荷港で積んだ容量に対し揚げ荷港での荷揚げ量は途中の洋上で消費した分だけ減ることになる。そのため、揚げ荷港でガス基地へ渡す際にどれだけの量が荷揚げされたのかを計即して把握する必要がある。(ここら辺の細かいやりとりは詳細は不明だが)船側ではタンクの液位の変化を船側と陸側それぞれ双方が立ち合い確認するのが必須となる。

 

ところで、船の燃料としてはA重油やC重油、LNGが一般的であるが、最近LPGを適用しようという動きがある。MAN B&WがLPGを燃料として使用可能な2サイクルディーゼルエンジンを開発している。実際そのエンジンを主機として搭載した商船も開発されつつある。

 

【MAN Diesel & Turboの情報】

Ship Operation Using LPG and Ammonia As Fuel on MAN B&W Dual Fuel ME-LGIP Engines - Ammonia Energy Association

 

【三井MAN B&W日本マリンエンジニアリング学会誌の情報 ―2018年―】

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime/53/1/53_134/_pdf/-char/ja.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime/53/1/53_134/_pdf/-char/ja

 

 

LPGを燃料とした船では当然LNGの場合と同様に航行中に積み荷のLPGを消費する。つまり、ガス田や油田近郊の港で積んだLPGの量は減ることになる。消費地であるガス基地にて荷揚げする量はどう評価するのか。新たな課題が生じる。

この課題に対する答えは様々だろう。一つの方法としては、船で消費するLPGは荷揚げするものとは別の取り扱い。すなわち、別の専用のタンクにする。例えば、UPPER DKに燃料タンクとして設けるなどの方式とする。あるいは、LNGの場合と同様に同じタンクに揚荷としてのLPGと燃料としてのLPGを区別せず、再液化装置の負担を減らして航行中の実質的な電力削減を目論むのも1つの方法となる。この場合、荷揚げする際のLPGの量をハッキリさせるという新たな課題が出てくる。

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