機関室配置

Plant

商船の機関室のアレンジメント、つまりレイアアウトを設計する際によく議論になることがある。

 

それは日常のオペレーション業務を重視した設計とするのか、それとも、機器の開放の際のメンテナンスを考慮した設計とするのか、どちらを優先させるのか、という命題である。もちろん両立した方が良い。しかし、実際には二律背反する場合もある。その場合、どちらかを選択し他方をある程度犠牲にしなければならない。

 

例えば、Middle Deckに配置された発電機関セットの配置である。ディーゼル機関で駆動する発電機関の場合、コンテナ船の様にレフコンの需要が高くて発電機の総容量のデマンドが高い場合があるので一概には言えないが大抵1隻あたり3台で構成されることが多い。

 

2サイクルディーゼルの主機関は背が高くMiddle Deckを跨いでクランクケースが高く突き抜けている。その船尾側に発電機関を並べるのだが、ECR/機関室コントロールルームから船尾側に歩いて行くとゲージボードやその他もろもろの常時ワッチしたいディーゼル機関が船首側にあった方が都合が良い。近いし歩き易いからだ。広いオープンスペースからも見易い。

 

一方、開放のメンテナンスの際のスペースを考えると発電機のローターが最も大型のパーツでありオープンスペースのある船首側にある方が圧倒的に有利だ。ディーゼル機関を船首側に配置し発電機を船尾側にするとローターを発電機関を跨いで船首に移動させる必要があり困難である。(ほとんど不可能。)

 

かくして結論としては通常のオペレーションでのワッチのし易さを少し犠牲にしてメンテナンスを考慮した配置となる。ローターを内蔵する発電機を船首側に配置する。

 

分譲ではなく不動産屋さんとレイアウトから相談して一戸建てを建てた経験があるなら良く分かると思う。1階のメンテナンスなら外回りなら4隅のコーナーも含め足場を架設するスペースがあるか。家の中なら床下を調べたりするルートの確保。2階なら天井から屋根裏にどう行くか、アクセスするルートの確保。不動産屋さんを通じて建築屋さんがきちんと考えていてくれたら心強いしある程度信頼出来る。

 

一方、メンテナンスを考慮することは大切な要素だが、それだけを優先するのは実際的でない場合もある。大型の機器、例えば、2サイクルディーゼル主機、ボイラ、排ガスエコノマイザーなど細かい部品は除いてクランク軸やドラムなど大型機器やパーツの寿命イコール船の寿命と見做して(割り切って?)オペレーションのみ考慮して配置設計する。

 

詳細にもっと突っ込んだことに触れるとただ扱い易い配置、メンテナンスし易い配置、オペレーションを考慮した配置、だけではなく、造り易い配置やたせんに流用し易い配置などにも配慮する。

 

いずれにしても機関室に入って歩いてみる。歩き回ってみる。経験のある技師、乗組員ならそれだけで良い配置なのか否かが判断出来るだろう。

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